知性の性質は自発性

知性の性質は自発性
子どもが、「もう一度、もう一度、・・・・・」と
何度も同じ行為を延々と繰り返す根底には、
二つの原因があるといわれています。

一つは「敏感期」の強烈なエネルギーが
溢れ出ているということ(第2章)になります。

そして、もう一つは「知性」が生き生きと
働いているからという事になります。

知性は宇宙の果てまでも知りたい欲求ということになりますので、
「自発性」という性質を備えています。

知性は、「分析、集合、対応、比較」というような
論理数学的な構造で働く場合だけでなく、
「抽象、因果関係、時間」のような哲学的論理、
「空間、図形」のような幾何学的性質に沿って展開する
力などいろいろなものがあります。

他にもまだまだありますが、子どもの生活の中で
よく見かける光景では、○(マル)や△(サンカク)、
□(シカク)という言葉や形を覚えたら、
自分の身の周りに物の中から、それぞれのものを
指すといった行動をするといったことがあげられ、
これは子どもがいろいろな具体物の中から抽象する
働きをしているしるしといえるのではないでしょうか。

動物や生物の成長の過程、
例えば「①カブトムシの卵→②幼虫→③さなぎ→④カブトムシ」という過程を、
4枚の絵にしたペープサートで説明したりすると、
子どもたちは、毎日毎日このペープサートをしてほしいと言います。

そして、説明が始まると子どもたちは
静まり返って見入っています。

簡単な、たった4枚の絵を使っての説明ですから、
子どもたちは当然その筋道も説明の言葉も完全に
暗記してしまっているはずなのですが、
それでも熱心に真剣に見ているのです。

それは、子どもたちにとって、
「卵」から「幼虫」、それから「さなぎ」、
そして「カブトムシ」になる過程の中に
因果関係を見ているのであり、一生懸命、
知性を働かせて見ているのです。

そして理解するまで、それを何回でも見たいと思うのです。

人間が知識を確実に「自分のものにする」過程には、
三つの段階があるといいます。

第一段階は、「感覚」で捉えて、
「ワァー!」と驚くというような「経験」をする事です。

そして、驚いたこと(物)に対して、
「どうなっているのだろう?」という問いを抱きます。

第二段階は、その問いを解決するために「知性」が働き始めます。

驚いた対象を、分析したり、比較したりして
調べるのが知性の働きになります。

知性の働きで対象を理解すると、なるほどと納得します。

でも、その時に本当なのかな?
という新しい疑問が生まれ、確かめてみたい
という気持ちが生まれます。

第三段階は、確かめるために「理性」が働き始めます。

ここでは「感覚」や「知性」とは異なる原理が働くので、
それを「理性」と呼ぶとの事です。

理性は根拠に照合して確かめる働きをして、
やっぱり!と納得するに至り、
正しいとか正しくないという判断が生じます。

これらの三段階、つまり、最初に感覚で経験し、
次に知性で納得し、最後に理性で判断して得られた知識は
完全に自分のものになります。

子どもが繰り返し、同じことをやっているときには、
無意識のうちに、前述の三つの段階を踏みしめていると
考えて間違いないようです。