完成の敏感期

完成の敏感期
子育て中の方、もしくは、子育てをした経験がある方ならば、
小さい子どもは「見る、聴く、触れる、嗅ぐ、味わう」などの感覚が、
大人に比べてはるかに鋭いということをご存知なのではないでしょうか。

人は「見る、聴く、触れる、嗅ぐ、味わう」の際に、
「目(視覚)、耳(聴覚)、皮膚(触覚)、鼻(臭覚)、舌(味覚)」
という感覚器官、つまり五感を使いますが、
これらは、人間が外の世界と関係をもつのに大切な窓口と考えられ、
この窓口が完成し洗練されるのが、「感覚の敏感期」と言われる時期になります。

これらの感覚を完成させるには、一つひとつをよく使う必要があり、
そうすることでそれぞれの機能を洗練していくと考えられます。

この大切な時期は、一般的に3歳~6歳くらいといわれています。

この「感覚の敏感期」は一生に1回きりしかないと言われているので、
この時期を大切にしなければなりません。

この時期に、外界から感じとる感覚を磨くことで、
優れた感性を持った人に成長できるのです。

子どもが発見したり感動したりして喜んでいる時には、
大人も一緒になって感動したり喜んだりする事がとても大事になります。

自分だけでなく、大人も喜んでいる姿を確認することで、
子どもは自分の能力に自信を持つことができ、
自分の感性といったものを信じれるようになり、
自分らしく生きていける力を貯えていくのです。

「視覚の敏感期」では、小さなものに目をとめ、
ちょっとした違いにも気がつき、美しいものに感動します。

大人には残念ながらその感じ方はできないので共感するのは難しいと考えられますが、
子どもがきれいだといっているものを否定したり大切にしているものを捨てさせたり、
という様なことはしないように注意しましょう。

この時期に、そのような出来事が重なると、
子どもは自分の感じ方や考え方に自信をなくしてしまい、
本質的なものへの直感力がない人になっていってしまいます。

大人が大事だと思うことをさせるよりも、
この時期にだけ自然が与えた鋭い感性を
伸ばしてあげるようにしましょう。

大人が「聴覚の敏感期」という事を知っていれば、
子どものちょっとした行動にも気づいてあげる事ができますよね。

食事中でも、食事よりも聴こえてくる音に
敏感になっている子どもにとっては、
どの音も大切なのだと、大人がわかっていてあげれば、
無理に食べ急がせたりされずに、
自分が生きるペースを大事にしてくれる大人が
傍らにいてくれると感じたとき、子どもは幸せを感じることができます。

幼児期に、このように大切にされると、
自尊感情が低い人間にはならないはずです。

「感覚の敏感期」では、様々な感触を楽しむ
時期だという事を大人が知っていれば、
子どもの不可解な行動に、余計な心配や厳しさを
持つ必要がなくなります。

モンテッソーリは、
「発生学的にみると、手と脳は同じ外胚葉からできているので、
子どもが手で触りながらさまざまな抵抗度の違いを確かめているときは、
脳も刺激されている。

だから、そのときの子どもは小さな科学者なのだ」
という言葉を残しています。

子どもが色々な所や物を熱心に触る姿を見て、
「触っちゃダメ」と叱るか「小さな科学者だ」と感心するかの違いは、
そばにいる大人が「感覚の敏感期」を知っているか知らないかと
いうことにかかっています。

子どもは同じものがゴチャゴチャになってしまったとしても、
その中からちゃんと自分の物を取ることができます。

自分の臭いは判るという事のようです。

大人は匂いで誰が所有者かなどと当てるのは結構難しいことですが、
子どもにとっては、ごく自然のやり方のようです。

これも「臭覚の敏感期」のみの行為といえるようです。

この時期は「味覚も敏感期」です。

大人も顔負けになるくらい、新鮮な魚の旨味や旬の野菜の甘み、
ママの味付けなど微妙な味の差異にも敏感になっています。

だからこそ、「味覚の敏感期」にママが手作りしてくれた料理の味は、
生涯忘れることができない懐かしい味になるといわれています。