わかりやすく「して見せ」て

わかりやすく「して見せ」て
どうすれば自分でできるか「動き方学びたい」のだと
気がついたモンテッソーリは、子どもには、一連の運動を分析して、
ゆっくり、黙って、「して見せる」という方法が有効であることを
発見しました。

「して見せる」とは、本当に誰もがやってきた、
そして全く目新しい特別な技術ではありません。

ただ、「して見せる」ことは、幼児期の子どもの前でする
必要性を強調するときに、その新しさがあると考えられます。

「して見せる」とは、まずは、子どもがやりたがっている活動を一つだけにします。

次に、その一つの活動を構成している諸部分を分析します。

その必要不可欠の部分だけを取り出して、ゆっくり、
はっきりとした順序立てを行います。

そして、その行為を子どもの前で「して見せる」。

このとき、絶対に言葉を添えないで黙って行いましょう。

行動と動作は離して行わなければなりません。

「して見せる」動作を行った後で、簡単に言葉で説明しましょう。

随意筋肉運動は、知性の働きと連動しており、知性の働きは
「区別する」ことが基本となりますので、
構成している諸部分を区別して、区別された部分を順序立て、
ゆっくり、はっきり、して見せると「ああ、そうすればできるのだな」と
子どもは理解することができます。

但し、随意筋肉運動の調整期にいる小さい子どもに教えるやり方は、
「ゆっくり、はっきり、して見せる」とい動作が特に必要となります。

目の前で「ゆっくり、はっきり、して見せる」という動作が行われているとき、
「食い入るように、真剣に見ている」子どもの脳のなかでは運動の順序を記憶し、
組み立てる作業がされていて、単に「できるようになる」とか「器用になる」のではなく、
自分で考え、見通しを立てる能力も育っていると考えられます。

「食い入るように、真剣に見ている」といった子どもの行動の奥には、
生命の法則が作用しており、ただ「上手になる」「器用になる」だけではない、
もっと深い人格形成と関連した生理学的事実があるという事を心にとめることが必要です。