学童保育の待機児童が約一万人

十一月七日に厚生労働省は放課後クラブいわゆる学童保育
(共稼ぎや一人親家庭の小学生を放課後に学校内や児童館などで預かる保育の事)の数が、
昨年に比べて六百二ヶ所増えて二万二千八十四ヶ所で、
その学童保育を利用する児童の数が昨年に比べて約四万七千人増えて、
九十三万六千人で、共に過去最高となったと発表しました。
(すべて、この数字は五月一日現在のものであるとの事です)

その一方で、希望しても利用できない待機児童は、
昨年に比べて約千二百人増え、一万人弱になったとの事です。

二〇〇七年の約一万四千人をピークに一旦は、減少に進み、
二〇一一年には約七千人まで減少したようですが、
二〇一二年から再び増加に一転しました。
平日六十五.五パーセント放課後クラブが午後6時を過ぎても開所しており、
土日を含む長期休暇中でも六十四.二パーセントが午後六時を過ぎても開所しているとの事です。

これは、働く保護者にとって、非常に喜ばしい事といえるのではないでしょうか?

ただ、共稼ぎ夫婦が多くなり利用を希望する人は増加傾向にありますが、
保育園の待機児童問題をなんとか潜り抜けてきた親にとって、
今度は小学校入学後に子どもの放課後の預け先が見つからないので、
仕事と育児の両立が困難になる「小一の壁」という問題に直面しなくてはならなくなっている事は、
重要な問題と考えるべきではないでしょうか?

政府は共働きや一人親家庭などの児童を預かる「放課後児童クラブ」(学童保育)
の定員枠を平成十九年度末までに約三十万人分拡充する方針を明らかにしており、
安倍晋三内閣が策定した「成長戦略」にも
女性の働きやすい環境整備として盛り込んではいますが、
そのためにも「小一の壁」という問題の解消が急務といえるのではないでしょうか。

民主党政権時の二〇一〇年一月に閣議決定された
「子ども・子育てビジョン」でも三十万人増をうたっていましたが、
四年経った今でも実現されていないのが、
この問題が抱える現実と考えるべきなのかもしれません。

学童保のクラブで働く指導員は全国で約九万二千人位いますが、
公営の正規職員は全体のわずか二.九パーセントで、
民間の正規職員十八.六パーセントの他は全体の約八割が非正規職員となっているのが現状です。

その待遇の六十八.二パーセントが年収百五十万円未満という事で、
年収が三百万円以上の方は、わずか五.八パーセントしかいないのが現実となっております。

また、非正規職員の多くは時給での雇用という形になり、
社会保障がないのが現実となっているので、この点でも、早急な対応策が求められています。

このような劣悪の雇用条件と学童保育の利用者の数の急増により、
勤続しても3年以内に辞職する人が半数を占めています。

現在の状況を考えると致し方ないともいえますが、
このような問題にも早急な対応策が必要と考えられませんか?

指導員の待遇面での改善と、子どもの健康や安全の管理、
生活や遊びの指導などの仕事の専門性への理解・向上が求められ続けているのではないでしょうか。