保育士不足解消の一手となるか「子育て支援員」

政府は、昨年4月の時点で待機児童を解消するために、
2017年度までの5年間で保育所などの定員を40万人分増やす予定の計画を立てています。

ただ、この数字をクリアするため、
つまり、保育所の定員を40万人とするためには、
絶対的に必要な保育士さんの数が不足するという事がわかっています。

それは、現状のままの計画で進められた場合に、
2017年度末で、7万4千人が不足するという見込みになっています。

保育所は、国の基準により、
全職員を保育士でそろえる必要があるため、
いろいろな自治体などから
「保育士が足りないから保育所が作れない」という声があがっているようです。

そのような声を受け、政府は保育士とは別に、国が定めた内容の研修を受け、
一定の知識や技能を身につけた「子育て支援員」を、
2015年度に創設する方針を月の成長戦略に盛り込みました。

その構想は、育児経験がある主婦を中心に、
定員19人以下のミニ保育所や企業内保育所などで子育て支援員として働いてもらうということ、また、
小学生を預かる放課後児童クラブ(学童保育)の働き手も見込んでいるという事らしいです。
さらに、
これらの施設で働く人の保育士への転身支援も検討するという事が考えられているとの事です。

加えて、
「子育て支援員」としての経験を保育士試験を受けるために必要な実務経験に参入するなど、
保育士資格を取りやすくするという狙いもあるようです。
 
「子育て支援員」は保育所で働くことはできず、
直接保育士を代替するものではないが、
将来保育士になれる道筋をつけることで、
中期的な保育士不足の緩和にもつなげようと考えていることがわかります。

政府は4日、
10時間程度の共通研修と施設・サービス別の5〜15時間の研修を行う方向を示しました。

制度設計はまだはっきり見えないのですが自治体からは
「支援員がゆくゆく保育士資格を取れるのであれば(保育士不足解消につながると)期待できる」
(東京都の保育支援課)との声もあるようです。

ただ、この制度で、国が想定する子育て支援員の年収は200万円になるとの事です。

この金額で、また、どのような雇用契約とするのかが不透明な状況で、
「子育て支援員」という仕事に人が集まるかどうかに大きな疑問が残ってしまいます。

社会保険など福利厚生に関する問題でも、
まだまだ検討しなければならない事が山積りのように感じられます。

「子育て支援員」の制度設計を政府は急ぐが、
現場の不安を払拭するような研修内容や充実した処遇を示さない限り、
また、保育士として働きたいという魅力が明らかにされない限り、
保育士不足の解消に繋がるという事はいえないのではないでしょうか。